事業目的の決め方

会社を設立するにあたって、その会社の事業目的を決めて、定款(会社の根本的な決まりごと)に記載しなければなりません。会社(法人)は、その目的の範囲において、法律上”人”として認められる存在です。ですから、会社の事業目的を決めることは、その会社が行うことのできる行為を決めることでもあります。

では、事業目的を決めるとき、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。

1.行ないたい事業を、ある程度具体的に記載する

まず第一は、当たり前のことですが、会社を設立してから行なおうと思っている事業について、ある程度具体的に記載するということです。抽象的な目的であっても問題なく登記できることも多いですが、ある程度の具体性がないと、色々な場面でその会社が何をしている会社なのか、わかりにくくなってしまう弊害が生じるからです。

会社を設立した後、自社と取引を考えている会社が、登記簿上の事業目的を確認してその適否の判断を行なうかもしれません。また、何らかの融資を申請する際にも、行なっている事業が目的に記載されているものかどうか、確認されることも多いです。

このようなとき、抽象的で包括的な事業目的であるほど、その後の関係構築にマイナス要因として働くことが少なくありません。

2.近々行なう予定のある事業は記載する

前述のように、事業目的は定款に記載され、また登記されます。そのため一度決めてしまうと、変更するためには一定の手続きが必要になったり、税金を納めたり、時間もお金もかかってしまいます。

会社を設立してすぐ行なう事業だけでなく、設立からしばらく後の間にその事業を始めることがある程度具体的なのであれば、その事業目的も記載しておきましょう。

3.事業目的が多すぎると信頼性が低下する

前項で、行なう予定のある事業目的は記載すると書きましたが、だからといって何でもかんでも事業目的に記載してしまうのはおすすめできません。

取引先に不信感を抱かれたり、銀行からの融資の際に余計な事業目的が記載されていることがひっかかってしまったりと、それはそれで弊害が生じる可能性が高まるからです。会社を設立してから一定の期間にスタートすることが、「ある程度は具体的である事業」を中心に、事業目的の追加を考えましょう。

その会社が何をするかを具体的に表わすための事業目的が原因で、何をする会社なのか判断できないのでは、本末転倒になりかねませんから。

4.営業の許認可を受ける場合には文言に注意する

会社設立後、その事業を行なうために役所などから許可や認可を受ける必要がある場合には、事業目的の文言には注意しなければなりません。

といいますのは、例えば中古パソコンを買い取ってリサイクルする会社を設立した場合、その事業を行なうためには「古物商許可」という営業の許可を受ける必要が生じます。この際、その会社の事業目的に「古物営業法による古物商」など、古物商を営む会社であることが明確にわかる文言が含まれていないと、そのままでは許可が下りない可能性が高いからです。

そうなってしまうと、定款変更の手続きや登記の変更手続きなど、余計な手間や税金をかけて事業目的を追加・修正しなければならなくなってしまいます。

「そんなことがあるんだなぁ」と他人事で読まれる方も多いかもしれませんが、実はこういう事態というのは実際に多々起こっているのです。事業目的を決める際には、ある事業を行なうために許可が必要なのかを調べるだけでなく、その許可を取得するために必要となる事業目的の記載まで確認しておくようにしましょう。

5.事業目的の最後には、これを記載

設立後の会社で行なう事業や行なう予定の事業について、事業目的として記載することが決まったら、最後に「前記各号に附帯する一切の事業」といった文言を付け加えて、完成です。この文言によって、記載された目的に付随する事業であれば、その事業を行うことができるようになります。

6.事業目的の記載で迷ったら

事業目的として記載できる単語や文言は、以前と違ってかなり自由な表現が認められるようになりました。ですから、基本的には思ったように記載してしまっても、問題が生じることは少ないでしょう。

とはいえ、例えば新しい用語など、まだ一般的とまではいえないような単語を事業目的に使う場合や、別の意味と捉えられかねない紛らわしい表現となってしまう場合などは、その事業目的では登記ができない可能性が生じます。

会社の設立に際して、事業目的の具体的な表記に迷ってしまったら、法務局の相談窓口を活用して、事前に確認しておくと安心です。

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